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2010年8月20日 (金)

飛び込み営業

暑い暑過ぎる。

先日、事務所に篭って、不得意な事務仕事をしていると、営業マンがやって来た。
暑いなか、飛び込み営業ご苦労様。
某通信会社の営業で、通信費がお安くなるそうだが、実施済みだから断ると、事務機器のリースもやっていると言い出し説明を始めた。鬼軍曹の営業所長から「ひとたび中に入れたのなら、話をつなげて着座で商談にまで持ち込め!」と叱咤されているのだろうな。

ワタシも飛び込み営業の経験がある。歓迎されないのは当たり前、ひどいお言葉を頂戴した経験もある。だからこそ、弊社に飛び込んできた営業さんには、買わないけれども丁寧に対応してお断りするようにしている。

その日も「暑い中来てもらってわるいんだけど、ごめんね~不景気でお金が無いのよ」とお帰りいただいた。

飛び込み営業で思い出すのは、祖父母のことだ。

家に訪ねてくる営業マン(物売り)の品は、何でも買ってしまっていた。
怪しい健康食品、おいしくない海産物、3時間しか動かない時計、などなど家にはガラクタがいつもあった。
「こんな不良品、見ればわかってるのに何で買うのよ?」訊いたことがある。「でもね、暑い中(寒いor雨のなか)若い子が売りに来るんだよ。かわいそうでね。○○(孫の名)もああやって苦労してるんじゃないかって思うと不憫でさ、ニセもんでもなんでも買ってあげたくなるんだよ」と笑っていた。

同居する伯父夫婦も偉かった。祖父母の優しい心持を理解していて、「オヤジ・オフクロのお金だもの、好きに使えばいいさ。お金が全部無くなってもいいよ、面倒はオレが見るから」と一度もとがめだてもしなかった。「ただし、現金で買えるものだけにしてくださいよ。ハンコおす事(大きな契約ごと)だけは止めてくださいよ」とも言っていたかな(笑)

3時間で動かなくなる高価な置時計を買ったのは祖母だった。たまたまやって来た口の悪い叔母に「ひとの良いのもいい加減にしなきゃ」と厳しくたしなめられていた。そのときも祖母は「だって若い子が一生懸命だったんだよ。ひとつも売れないとあの子、きっと上のひとに叱られるんだよ。かわいそうだよ」と一生懸命言っていた。
それを黙って聞いていた祖父の悲しそうな横顔は今でも記憶に残っている。

それから祖父はどうしたか?
3時間ごとに時計のネジを巻き動かし続けたのだ。動く時計を眺めながら祖母はうれしそうだった。

祖父の“労働”を気遣って「もういいでしょう?この時計も良く働きましたよね」と伯母が控えめに言ったのはひと月後だった。動かなくなった後もその時計は祖父母の居間に置き続けられていた。

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コメント

何年位前なのかしら、 ご様子が 8ミリ映写に収めてあるかの如き 細やかで、 よく 覚えていらっしゃると 思います。 そんなに 多種多様な 押し売りがあったんですね。 ビックリマークです。 祖父は昭和に 古物商って あった事きいてます。 質やさんとは違うらしい。 始終 警察が、 盗品ないか 来てたと。 今は 名前を リサイクルショップ に変えてますね。 昔の 社会には、 義理人情が 満ちてましたね

投稿: マダムサムタイムケリー's | 2010年8月21日 (土) 09時10分

凄いね、文才。
俺も文章を書くのを仕事にしているがこんなに上手には書けない。
特に最後の2文節はどう頑張っても俺には書けない。
いいなあ、人の心を打つ文章を書ける人が羨ましい。

投稿: kevin | 2010年8月21日 (土) 10時58分

マダム、コメントありがとうございます。
忘れっぽいタチなのですが、覚えている昔のわずかな事は、不思議なことに「映像」で覚えているんですよね。
そういえば学生の頃、一夜漬けの丸暗記をすると、教科書の見開きページが写真のようにアタマに入ってきました。
これは大切なところがはっきり「写ってなくて」あまり良い成果を上げることが出来ませんでした

投稿: しゃも | 2010年8月23日 (月) 09時23分

kevinさま、コメントありがとうございます。
飛び込み営業の若いもんへ、一応は丁寧な対応をしたものの、心が充分篭っていたのかな?と問うた時、20年も前の祖父母の姿が思い出されて、思わず力が入ってしまいました

投稿: | 2010年8月23日 (月) 09時28分

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